美容医療ニュース

全国に展開していた脱毛サロン「銀座カラー」の運営会社が破産手続きに入ったことが16日、分かった。
約10万人とされる債権者の多くは利用客とみられる。脱毛サロンをめぐる消費者トラブルは急増している。何が起きているのか。

帝国データバンクによると、銀座カラーは有名タレントを起用した広告で知名度を高め顧客を獲得し、全国に約50店舗を構えた2020年4月期には年収入高約125億6千万円を計上していた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が減り、業績が悪化。店舗の統廃合をすすめて収益改善に努めたが、スタッフの退職も相次ぎ、運営が困難となった。直近では約30店舗になっていた。

債権者は10万人を超える見込みで、脱毛サロンでは過去最大規模。広告や口コミサイトなどで上位を占めることで、「大手」として安心して契約をした客が多かった可能性があるという。

(2023/12/18 朝日新聞デジタルより)

■「エクソソームの投与で何かを治したと人で実証された例はない」「身体にリスクも」 “若返りや美容効果”うたうクリニックに警鐘

再生医療抗加齢学会が、医学的に承認されていない行為で患者が死亡した事故に関する情報を発表した。
この行為を“若返りや美容”のなどの効果をうたって行うクリニックもあるが、研究者は警鐘を鳴らしている。

再生医療抗加齢学会がホームページにて「幹細胞上清液を使用した治療に関し、患者が死亡するという事象が発生したという情報に接しております」と発表すると、「幹細胞培養上清液」という聞きなれない言葉にもかかわらず、SNSでは大きな話題となった。

再生医療抗加齢学会に所属する複数のクリニックの情報によると、「幹細胞培養上清液による治療」と呼ばれているものの多くは、幹細胞を培養した際に出る上澄み液に含まれるエクソソームという物質などを点滴や点鼻などの方法で人体に投与し、『若返り』や『美容』『身体の痛みの改善効果』などが期待されるとうたっている。

しかし、医療として承認された行為ではない。再生医療抗加齢学会も「医療水準として未確立の療法であり、その有効性・安全性について、エビデンスに基づく十分な検討をお願いいたします」とアナウンスしている。

死亡例の詳細は不明だが、この物質の投与については、効果も安全性も確認されていないとして、以前から警鐘を鳴らしていた研究者がいる。

大阪大学産業科学研究所 曽宮正晴助教は「科学的な根拠がない医療的な行為で、実際にその健康被害が生じているとすれば、倫理的にも科学的にも非常に大きな問題だ」と警鐘を鳴らす。

細胞から分泌される物質であるエクソソームにはタンパク質やRNAなどが含まれ、細胞間の情報を伝達する役割があることから、病気の治療に使えるのではないか、などと研究が進められている。

しかし、それはあくまで「研究の段階」だという。曽宮助教は「エクソソームを体内に入れて何かを治すことが人で実証された例がない。おそらく、基礎研究段階のものから飛躍して、『これが人にもいろんな効果がある』『安全である』と喧伝しているケースが大半だろう」と指摘した。

曽宮助教によると、厳しい規格が設けられている医薬品とは違い、製造工程や手法などで基準が定められていないため、身体に危険をおよぼす可能性もあるという。

「生物由来のナノ粒子であるため、例えば人から採ってきたものについてはおそらく感染症のリスクがある。あるいは、どういった工程で作られているか分からないので、不純物が体に悪影響を及ぼす可能性もある」

研究者でも不純物を取り除くのは困難であり、そもそも幹細胞培養上清液にどのくらいのエクソソームが入っているかを正確に測定することも難しいという。

『ABEMAヒルズ』の取材に対し、再生医療抗加齢学会は、「現在該当省庁が調査していると聞いておりますので、学会としてのコメントは差し控えさせていただきます」としており、患者が死亡した経緯などはわからなかった。

学会は「会員が関連する事故ではない」としつつ、この発表をした理由をこう説明している。

「学会としては、当該治療法を推奨しておらず、会員様にも慎重に取り扱うよう主催セミナー等で啓蒙しており、今回も注意喚起の意図で会員様向けにHP上でご案内をさせて頂いております」

曽宮助教は、「エクソソーム自体が悪いものではない」としたうえで今後は「苦しんでいる患者のために努力している研究者もいるので、きちんとした手順を踏んだ研究に期待してほしい」と述べた。そして、「一部のクリニックの情報だけでなく、真摯な研究者らが発信する情報にも耳を傾けてほしい」と訴えた。

(2023/11/01 ABEMA TIMESより)

■「格安」勧誘で経営悪化 いびつなビジネスモデルに限界も

「脱毛サロン」の倒産が急増している。エステ脱毛を中心とする「脱毛サロン」の倒産は、2023年に9件判明した。既に前年累計の4件を大幅に上回って推移しており、年間では過去最多件数を更新したほか、初めて年間10件に到達する可能性がある。

ただ、脱毛サービス終了の発表や水面下の私的整理、廃業といったケースを含めれば、実際はより多くの脱毛サロンが市場から淘汰されたとみられる。

2023年の脱毛サロン倒産の特徴は、店舗を全国に複数展開し、回数無制限などを謳った通い放題のプランで会員数を拡大してきた中・大規模の企業で頻発している点があげられる。9月には女性専用の脱毛サロン・シースリーを展開していた「ビューティースリー」、男性専用の脱毛サロン・ウルフクリニックの経営に関与していた「TBI」など、大手の脱毛サロンが相次ぎ経営破綻し、通い放題プランを購入した会員などを中心に延べ約5万人が影響を受ける事態となった。

いずれも「月額1万円以下」「永久脱毛」など低価格・長期間の施術を前提としたコースで会員数を増加させたものの、同業サロンとの競争激化で新規顧客の獲得が頭打ちとなり、出店費用など設備投資や固定費の回収が困難となったことで事業継続を断念した。

足元では、契約内容を一方的に変更されたとして訴訟に発展したケースや、新成人となった18・19歳が高額なローン・クレジット契約に巻き込まれるなど、脱毛サロンの契約をめぐる消費者トラブルが問題となっている。

過度な勧誘方法の見直しや「前払い金」の保護に対する業界ルールの策定など、利用者保護の視点に立った脱毛サロンの在り方が問われている。

(2023年10月6日 帝国データバンク発表 Yahoo!ニュースより)

※2015年からの倒産件数と比較し、2023年の1-9月は9件と年間最多を更新した。
それまの件数は多くても5件(2017年)であった。

医師免許がないのに、皮膚に強い光を当てて脱毛し、女性客にやけどを負わせたとして、大阪府警は21日、大阪市西区のエステ店「BeSonder」経営の女(24)(大阪市)と、アルバイトの女(24)(大阪府柏原市)を医師法違反(無資格医業)と業務上過失傷害の疑いで書類送検した。

発表では、2人は昨年8月、医師免許を持たずに、光脱毛の機器に光線の出力を制御するフィルターを取り付けるのを怠って、20歳代の女性客の毛根に強い光を当て、背中に全治約1~2週間のやけどをさせた疑い。2人は医師法違反容疑について否認しているという。

厚生労働省は「強い光線を毛根部分に照射し、毛乳頭などを破壊する行為」を医療行為にあたるとする見解を示している。

エステ店での脱毛を巡る事故は相次いでいる。国民生活センターによると、2022年度の事故件数は163件で、17年度の123件から約3割増えている。日本エステティック振興協議会は、脱毛方法について「除毛や減毛を目的に、毛の幹細胞を破壊しない範囲で行う」とする自主基準を策定し、エステ店に法令順守を求めている。
(2023/06/21 讀賣新聞オンラインより)

医療脱毛の「ウルフクリニック」の運営に関与していた(株)TBI(TSR企業コード:138345503、港区)が、破産手続きを弁護士に一任した。
ウルフクリニックは、男性専門の医療脱毛クリニックを東京、神奈川、愛知、大阪で展開。2022年の開業当初から、口コミと引き換えの割引などで急速に知名度をあげていた。しかし、クリニック開業の投資負担などが重く、資金繰りは新規契約の顧客からの入金で繋ぐ逼迫した状態が続いていた。こうしたなか、2023年4月に突然クリニックを休業。5月中旬頃に再開予定としていたが、営業が再開されることはなかった。この間、未施術分の返金を求める客との間で返金トラブルが相次いでいた。
顧客からの相談を受付けるアディーレ法律事務所の担当者によると、6月14日時点のクリニック利用者からの相談は900名超、平均被害額は約20万円。被害総額は、単純計算で1億8000万円にのぼる。
関係筋によると、TBIの負債総額は1億円超にとどまる見通し。ただ、TBIは医療法人ではないため、開業当初の顧客の一部を除く大半の利用者はウルフクリニック各医院と契約している。この分を加味すると、実際の債務は膨らむとみられる。
アディーレ法律事務所によると、7月上旬をめどに医院の関係者への集団訴訟に踏み切る意向だ。
なお、TBIの代表者および前代表者が役員を兼務する企業は他にも数社あり、それらの企業の動向にも注目が集まっている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年6月19日号掲載「SPOT情報」を再編集)

新型コロナウイルスの無料PCR検査を巡り、東京都は2日、医療機関など11事業者が検査数を水増しするなどし、都の補助金約183億円を不正請求していたと発表した。
無料PCR検査は2021年12月〜23年5月に都内で実施され、経費の全額を都が助成した。不正請求が判明したのは22年度分で、11事業者は美容外科や医療検体の輸送会社、薬局など。所在地は都内のほか、埼玉、神奈川、大阪、和歌山の4府県。最高額は美容外科「medical(メディカル)4 men clinic(メン クリニック)」(中野区)の69億円だった。実際の検査数の8〜9倍を申請した事業者もいた。
 都は感染者数が減少傾向にある時期でも検査数が減らないなど、不正が疑われる事業者の交付を保留してきた。不正と認定した請求のうち、約17億円は交付済みだったが、都の要請で6億3000万円は返還された。都は引き続き返還を求めていく。

(2023年6月2日 東京新聞より)

尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療におけるメトホルミンとドキシサイクリンの有効性を比較した試験結果が5月2日、「Journal of cosmetic dermatology」オンラインに掲載された。
今回の研究では、インスリン様成長因子 1 (IGF-1)レベルを低下させる働きが認められている糖尿病治療薬メトホルミンとドキシサイクリンのニキビへの有効性を中等度ニキビ患者40人(15-40歳)を対象とした2か月間の評価者盲検アドオン無作為化対照臨床試験で評価した。グループ1ではドキシサイクリン100mgのカプセルを1日1回、グループ2ではメトホルミン500mgの錠剤を1日2回服用した。評価には、Global Acne Grading System (GAGS) スコア、Investigator Global Assessment for Acne (IGA) スコア、Cardiff Acne Disability Index (CADI)、Total Acne Lesion Count (TLC)、および炎症性および非炎症性病変の数を使用した。
その結果、GAGS、IGA、CADI、およびTLCスコアと、炎症性および非炎症性病変の数は、両グループで有意に減少し、2 つのグループ間に有意差はなかった。研究者らは、今回の結果の確認にさらなる試験が必要としている。

(2023年5月9日 美容経済新聞より)

以前は一部の人に限られていた美容医療。いまでは治療方法の増加や機器の発達で施術者のすそ野が広がり、利用者が増えている。それに伴い、トラブルも増加。特に多いのが脱毛関連で、成人年齢引き下げにより2022年から親の同意なしに契約できるようになった18、19歳が被害を訴えるケースが増えている。これが美容医療市場への参入を検討する化粧品メーカーにとって追い風になるかもしれない。
東京都消費者生活総合センターに寄せられた過去5年間の美容に関する相談は、18年度が479件、19年度が542件、20年度が597件、21年度が793件、22年度が930件。この2年間で急増し、「一気に脱毛が伸びて200件分が乗っかってきている状況」(東京都消費者生活総合センター)である。

(国際商業オンライン)

「一生通い放題ってほんと?」脱毛・美容で狙われる10代、劣等感につけ込む商法も 〝通い放題〟はごく一部、予約入らず、解約できず。

脱毛エステや美容医療に関する広告が、街中やインターネット上にあふれている。特に目立つのは、10代を狙った低価格を強調するこんな宣伝だ。「19歳までのあなたに向けて新登場!Teen二重術」「全身脱毛がお得になる学割」。
 男女ともに美容意識が高いと言われる若い世代にとって、脱毛や二重整形は珍しいことでなくなってきている。加えて春は大学進学などで周囲の人間関係が変わり、施術を受けやすいタイミング。ただ、安易な契約には注意が必要だ。コンプレックスにつけ込む商法や、メリットばかり強調する派手な広告も混在して、悪質な会社から高額な請求を受けるケースもある。
 日本女子大学が2,3月に在学生を対象に美容医療やエステに関するアンケートをしたところ、1週間で30を超えるトラブル報告があった。民法改正により、成人年齢が18歳に引き下げられてから4月で1年。社会経験の乏しい若者は、トラブルをどう回避すればいいのだろうか。

▽「一生通い放題」にひかれて行ってみたら…
 日本女子大学の学生たちは、アンケートで次のような体験を記述している。
 「SNSの広告に釣られて来店したが、実際には高額なプランを進められ、断り切れず契約してしまった。解約したい場合はどうすればいいか」
 「『破格で一生通い放題』『カウンセリングだけでも大丈夫』という広告を見てお店に行ったところ、通い放題になる部位はほんの一部だった上に、追加契約も必要だったことがありました。カウンセリングだけで終わらせるつもりだったのですが、お店の押しが強く、その場で契約させられたことがありました」
 「脱毛サロンに入会する時、2週間から1カ月に1回通っていただきますと言われたが、実際には予約がいっぱいで取れず、3カ月に1回予約を取れるか取れないかといった具合であった」
 「脱毛エステを解約したくてもできなかった。解約する際、コールセンターへの電話のみと言われ、何度電話しても(日にちや時間をずらしても)つながらなかった」
 国民生活センターにも相談が多く寄せられている。2022年4月〜2023年2月に18、19歳から寄せられた相談全体のうち、脱毛エステに関するものは1076件と約13%を占め、前年度同期間の約6・6倍となった。エステサロンでの脱毛に加え、医師が行う医療脱毛に関する相談も目立つ。
 相談の中には、解約しても返金されなかったり、施術効果の説明が不十分だったりするケースがあった。昨年8月に大手の「脱毛ラボ」の運営元が破産手続きを開始しており、これと関連するとみられる「契約したサロンが倒産した」という相談も多かった。
 国民生活センターによると、トラブル防止のために重要なのは次の2点。
(1)「お試し価格」など安さや気軽さを強調する文言をうのみにしない。
(2)契約は内容や期間、支払総額をしっかり確認して納得した上で行う。
それでも被害に遭ってしまったら、早めに消費者ホットライン「188」に相談してほしいと呼びかけている。

▽業界の複雑さとリスクを知る必要性
 対応に動き出している企業もある。脱毛サロン大手の「ミュゼプラチナム」(東京)は18、19歳の高校生や高専生には、父母や祖父母の同意を求める自主ルールを設けている。ただ、こうした取り組みが業界全体に浸透しているわけではない。
 業界団体はこの状況を、どう見ているのだろうか。医師らで組織する日本美容医療協会(東京)の鈴木芳郎副理事長は、成人年齢引き下げについて「本人の意思を重視できるメリットはある」としつつ、業界の実態を若者が理解しているかどうかについては懸念を示した。
 鈴木副理事長は美容医療全般についてこう説明する。「業界には専門医でない医師がいたり、派手な広告を出す企業があったりする」。利用を考えている若者は、脱毛の方法が医療脱毛とそれ以外に分かれていることや、肌荒れなどのリスクもあることを知っておく必要がある。当面は親の同意を得るなど慎重に対応することを推奨しているという。

▽いつの間にかすり込まれる「劣等感」
 消費者問題に詳しい日本女子大学の細川幸一教授は、美容医療が近年、人気になっている背景に、若者の意識の変化があると推測している。「『親からもらった顔にメスを入れるのはよくない』という考え方から変化したのだろう」
 細川教授が指摘する「知っておくべき点」は次の通りだ。①美容医療は保険適用外のため、消費者が全額負担しなければならない②企業は広告費がかさみがちな上、医師が自由に料金を設定できるため、高額になりやすい③本来、施術を提供する「供給」側である医師が、施術内容という顧客の「需要」も事実上決めてしまうという、医療ならではの特徴がある。
 細川教授が危険視するのは「コンプレックス商法」だ。体毛の濃さなど、外見上の劣等感を刺激して施術に駆り立てる手法で、広告などによって知らないうちに「毛がはえているのはみっともない」「脱毛しなきゃ」などという意識をすり込まれがちだ。対策をしている企業もあり、例えばヤフーは2020年に、広告主に対し、露骨な表現をしないよう通知している。
 細川教授は、悪質な業者や広告に必要な規制がかかっていない点も指摘している。「厚生労働省や日本医師会(日医)が積極的に対応すべきではないか。若者の契約の問題には、上の世代の無責任さがある」

(共同通信社 47NEWSより)

「ハイフ(HIFU)」という超音波技術を使った美容施術を受けた後、顔の神経に障害が出るなどの被害が相次いでいるとして、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は29日、施術者を法規制により医師などに限定することを求める報告書をまとめた。

 ハイフは「高密度焦点式超音波」の略称で、超音波で皮膚を傷つけずに皮下組織を加熱できる。前立腺がんの治療などに用いられるほか、美容クリニックやエステサロンでも美容目的で施術が行われている。
 事故調によると、ハイフによる事故は2015年に初めて報告されてから増加傾向にあり、22年12月までに135件あった。特にエステサロンでの事故が増えており、17年には国民生活センターが注意を呼び掛けた。
 エステ業界の主要団体はハイフ施術を禁止したが、事故調の調査によると、団体に加盟しているエステサロンは1割程度。未加盟のエステのうち約2割がハイフ施術を行っているとみられる。
 事故調は、ハイフ施術は適切に行わなければ顔の神経障害などを起こすリスクがある難しい施術だと指摘。安全上信頼性の低い機器を使い、必要な知識が不十分なまま施術を行ったことが事故の原因だとして、施術者を医師などに限定することや、輸入機器の流通監視を強化することを厚生労働相に求めた。

(2023年03月29日 共同通信より)