薄毛治療や美容医療などのクリニックを全国で展開する「麻生美容クリニック(ABC)グループ」の計7法人が大阪国税局などの税務調査を受け、令和5年までの5年間に計約62億円の申告漏れを指摘されたことが10日、関係者への取材で分かった。追徴税額は重加算税などを含む約12億円に上った。
関係者によると、グループ内で経営指導や医療機器販売、資金管理を担う基幹法人「IDEA」(大阪市中央区)から医療機器などを仕入れる際に、ほかの6法人が価格を過大に計上。患者からの手付金についても申告漏れを指摘された。
さらに、IDEAがグループ内から得た収入のうち約3億円については、悪質な仮装・隠蔽を伴い、重加算税の対象となる所得隠しと認定。法人資金を個人で消費したなどとして、医療法人の関係者らも約2億円の申告漏れを指摘された。
美容医療業界は近年、市場が急拡大する一方、新規店の開設費や広告費などの負担が増え、生き残り競争が激しくなっているという。ABCグループは「AGAスキンクリニック」や「東京美容外科」など、全国に100以上のクリニックを展開している。
(2025年10月10日 産経ニュースより転載)
医療法人 白藍
患者さまが安心して選択できる美容医療のために、幅広い診療内容のご相談を受付開始
しらさぎ形成クリニック(所在地:徳島県徳島市、代表:木下将人)は、2025年10月より「美容医療のセカンドオピニオンサービス」を開始いたします。患者さまが安心して治療法を選択できるよう、他院での診断や治療に関する疑問・不安を専門医が丁寧に解説し、適切な判断をサポートいたします。
経験豊富な医師に直接相談し、安心して自分に合った治療法を見つけていただけます。
[料金]
他院での治療前相談 :初回無料
他院治療後の修正相談:1回5,500円(税込)
*お持ちの診断書や見積書、過去の施術記録をもとに、形成外科専門医がリスクやメリットを含めた多角的な視点でご説明いたします。
■背景・目的
美容医療は治療方法やクリニックによって提案内容が異なるため、患者さまが「自分に合った選択」をするのが難しいケースがあります。特に手術や大きな施術を検討される際には、正しい情報をもとに納得して決断することが大切です。こうした背景を受け、当院では「安心して美容医療を選べる環境」を整えるべく、セカンドオピニオンサービスの導入を決定いたしました。
■内容
本サービスでは、美容医療に関する幅広いご相談を対象としています。具体的な診療内容は以下の通りです。
・二重まぶた手術
・目元や鼻の整形
・シミ・しわ・たるみ治療
・豊胸術や脂肪吸引などのボディデザイン
・美容注射や医療機器による施術
・傷あとや他院治療後の修正相談 など
料金
他院での治療前相談 :初回無料
他院治療後の修正相談:1回5,500円(税込)
*お持ちの診断書や見積書、過去の施術記録をもとに、形成外科専門医がリスクやメリットを含めた多角的な視点でご説明いたします。
■特徴・強み
・形成外科専門医による客観的なアドバイス
・美容外科から美容皮膚科まで幅広い相談に対応
・患者さまが納得して選択できるよう、複数の選択肢を提示
・無理な勧誘は行わず、中立的な立場での情報提供
■今後の展開・期待される効果
本サービスを通じて、美容医療に関する不安や誤解を減らし、患者さまが自分にとって最適な治療を安心して選択できることを目指します。今後も地域に根ざした医療機関として、信頼できる美容医療の提供に努めてまいります。
【会社概要】
会社名:しらさぎ形成クリニック
所在地:徳島県徳島市東船場町1丁目6パルプラザビル6階
代表者:木下将人
事業内容:形成外科、美容外科、美容皮膚科
設立:2018年4月
(2025年9月30日 PR TINESより転載)
10代から80代まで幅広い層が苦しんでいる
ヒアルロン酸注入後に皮膚が壊死した女性
(https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/amd-img/20250918-00000005-friday-000-1-view.jpg?exp=10800&fmt=webp)
まずは上の写真を見ていただきたい。交通事故の被害者のように見えるこの女性の痛々しい傷は「美容整形の後遺症によるもの」である。実際に彼女の後遺症の治療を行った日本医科大学付属病院・美容整形後遺症外来には、日々多くの患者が相談に訪れる。その最前線に立っている形成外科専門医の朝日林太郎医師が解説する。
「これはヒアルロン酸の注入後の後遺症です。ヒアルロン酸はシワやたるみ改善に使われる人気の治療ですが、まれに血管塞栓という合併症が起こります。ヒアルロン酸が血管に入り、血流を遮断してしまっている状態で、失明や皮膚の壊死など重大な合併症が生じることがあります」
近年、美容医療が爆発的に広がっている。インフルエンサーが堂々と「整形告白」をし、SNSにはキラキラした美容医師の広告があふれる。気軽に美容医療を受ける人が増える一方で、後遺症や医療事故に苦しむ人々も増えているのだ。
朝日医師は「患者数はここ5年で5倍以上に増えています」と言う。
「10代から80代まで幅広い。まぶたが閉じなくなった、鼻が変形した、脂肪吸引後のしびれや慢性痛、注射による壊死……。簡単だといわれている治療や手術で失敗や合併症が起きることもあり、パターン化ができないのが美容整形後遺症の難しいところです。
本来なら、美容医療を受けたクリニックで治療してもらうのが一番いいと思いますが、なかなかそうもいかない。患者さんは悩んだ末に私たちの外来にたどり着きます。受け皿にならざるを得ないという現状です」(以下、「」内はすべて朝日医師)
一見すると新しい医療分野のように思われるが、実は美容後遺症外来には長い積み重ねがある。
「日本医科大学病院では30年ほど前から形成外科の一部として存在し、15年前に専門外来として特化しました。2020年から私が責任者となり、全国から寄せられる相談に応じています。美容整形後遺症外来は命に直結する急性期ではなく、慢性的な不調が続く患者が対象となります。
患者の多くが手術や施術から2~3年が経過した方です。美容整形を担当した医師に『そのうちよくなる』と言われ、結局改善しないまま苦しみ、私たちのところに相談に来る。そんな患者さんが増えています」
後遺症治療を進めるうえで、元の執刀医と連絡を取ることは欠かせないが、そんな初歩的なところにも「問題がある」という。
「もちろん患者さんの同意を得てですが、できる限り手術を担当した先生に確認を取るようにしています。ただ、実際には診療情報をなかなか開示してくれないクリニックが多いというのが現状です」
医師法では、正当な理由がない限り診療情報は開示されるべきとされている。
「透明性は重要です。しかし、記録が残っていなかったり、記録とはまったく違う処置がされていたりします。ですから、情報開示の仕組みが整えばすべて解決、という単純な話ではありません。美容整形後遺症治療では、患者の状態を見極め、患者ごとに最適な対応をとることが最も重要になります」
◆「イレギュラー」に対応できない医師
美容整形の合併症は、時に命を奪うこともある。実際、過去に重大事故が繰り返されてきた。
- ’09年・東京都豊島区の美容整形外科
70歳女性が腹部脂肪吸引を受け、吸引管が腸を損傷。術後に死亡。医師は業務上過失致死罪で有罪判決。 - ’11年・東京都中央区の総合病院
鼻の整形を受けた30代女性が術後の誤挿管で植物状態に。約2年後に死亡し、東京高裁が病院に賠償を命じた。 - ’23年・大阪府大阪市の美容クリニック
48歳男性が顔の脂肪吸引で出血。適切な処置が行われず翌日死亡。担当医は業務上過失致死で書類送検。
「稀ではありますが、命に関わるようなケースもあります。形成専門医の資格もない、経験値が少ない医師がイレギュラーなケースに対応できず、事態を悪化させてしまうこともあります。
緊急性が高い場合は後遺症外来とは別の枠組みで美容救急が必要です。当院では春山記念病院などの医療機関と連携し、“一分一秒を争うような治療介入が必要な患者を確実に拾い上げる体制”を整えています」
形成専門医の資格を持たず経験値が少ない医師といえば、「直美」が頭に浮かぶ。直美とは、初期研修を終えただけで美容医療に飛び込む医師のことだ。しかし、初期研修はあくまで土台作りに過ぎず、医師としての力を養うのは後期研修である。
美容医療は本来、形成外科をはじめとする専門領域に位置付けられ、解剖学や外科的手技、合併症への対応など高度な専門知識が求められるのだが、重要な後期研修を経ずに美容整形に携わる医師がいるのである。患者にとって重大なリスクと言わざるを得ない。
朝日医師は「直美が悪いかどうかというのは難しいのですが、問題の一つとして“イレギュラーなケースへの対応に弱い”というのは明確にあります」と言う。
「本来ならイレギュラーなケースが出たときは、他の病院に紹介する、あるいは専門医に相談してもらえればいいのですが、そうせずに安易なタッチアップーー修正を試みて、かえって状況を悪化させてしまうケースが少なくありません」
直美に対する研修制度の整備が必要では、という声もある。
「制度で縛るのは非常に簡単で一つの方法ではあるんですけど、問題はもっと本質的なところにあると思います。“形成専門医の資格を持っていることは自分にとっても患者さんにとっても非常にプラスになる”ということを若い医師に私たち先輩がきちんと伝えきれていないのが問題なんじゃないかと考えています」
そう考えるようになった背景に、これまでの朝日医師の歩みがある。
「私は強い志があって美容後遺症外来を始めたわけではありません。もともと、私のキャリアの中心は熱傷や外傷などの急性期外科。一般急性外科の医師として、普通の地域病院で働くつもりでした。それが、前任の責任医師が退くことになり、私が引き継ぐ形で美容後遺症外来を担当することになったのです。
いわば医局の人事でこの世界に入ったのですが、現場で患者と向き合ううちに“これはまさに今、世の中に求められている仕事だ”と強く感じるようになりました。美容医療はサービス業の側面もあります。うまくいけば患者さんはとても幸せになりますが、トラブルが起これば苦しみ続けることになる。美容整形後遺症外来は重要な分野だと思っています」
だが、その一方で「後継者育成のハードルはかなり高い」という。経験、専門性、そして収益面での難しさから、簡単に担える医師はほとんどいないからだ。
近年、美容医療の広告やSNSで「センスのある医師」という言葉が頻繁に使われるが、朝日医師は「センスと腕は異なる」と断言する。
「動画で手術を学んでコピーできる器用な医師はいますし、それをセンスと呼んでいるのだと思います。ただ、手術は100人やれば100人同じ結果になるわけではありません。合併症は一定の確率で必ず起こります。そこからどうリカバーするかが大事であって、決してセンスだけで解決できるものではない」
医療ミスや美容整形後遺症に遭わないため、我々ができることはあるか。
「大事なのは執刀医の経歴や資格をしっかり確認し、その医師が術後トラブルにも誠実に対応してくれるかを見極めること。信頼できる医師ほど『自分では限界がある』という正しいジャッジができる」
美容医療は華やかな成功例だけで成り立ってはいない。
日本が「美容大国」となった今こそ、美容整形後遺症外来や美容救急の整備、そして直美など若い医師を正しく導く教育体制が求められている。
(2025年9月18日 PR TIMESより転載)
健康被害が相次ぐ美容医療を巡り、厚生労働省が違法の疑いがある行為を具体的に挙げ、適切に指導するよう求める通知を各都道府県などに出したことが14日、分かった。無資格者による医療方針の決定や、メールやチャットに限った不十分な診断などを挙げた。
美容医療に関する相談は増加傾向にあるが、違法性の線引きや、保健所による立ち入り検査の可否判断が難しいとの指摘があった。法的根拠を明示することで指導体制の強化につなげたい考えだ。
美容医療はエステサロンなどと比べて大きな効果が期待できる一方、医療行為に当たるため、医師や看護師などの資格が必要だ。
美容医療を巡る相談件数は年々増加し、2023年度の国民生活センターなどへの相談は5千件超。厚労省の検討会では「医師の診察前に治療内容が決まり契約した」「医師ではない無資格者の施術だった」などの相談が報告された。
美容医療の多くは自由診療で行われ、行政による指導・監査が可能な保険診療に比べ実態が見えづらいとの指摘がある。保健所には美容医療に詳しい職員が少なく、医療行為の適否の判断が難しいとの声や、医師法で義務づけられた診療記録の作成・保存が不十分で、問題事例の確認が困難な医療機関もあるとの意見も上がっていた。
通知では、医師免許のない無資格者が「カウンセラー」と称し、医療脱毛や高密度焦点式超音波(HIFU、ハイフ)などの治療方針を決めて施術することは医師法違反と明示。医師の指示がない看護師らのみの治療を禁じ、治療行為の料金設定の説明という体裁であっても医師以外が治療方針などを決めてはならないとした。
メールやチャットのみの診断では不十分な場合があり、医師法違反の恐れがあると解釈。記録不備がある場合も違反に該当するとした。こうした医師法などの違反が疑われる事案があった場合は、保健所が医療法に基づき立ち入り検査できると示した。
(2025年9月15日 2:00 日本経済新聞より転載)
脱毛サロンの業界大手「ミュゼプラチナム」で元従業員らの給与が未払いになっている問題で東京地方裁判所は18日、運営していた会社の破産手続きを開始する決定を出しました。債権者は顧客や従業員など123万人余り、負債額はおよそ260億円にのぼるということです。
全国におよそ170か所の脱毛サロンを展開する業界大手の「ミュゼプラチナム」はことし3月下旬から経営体制の移行などを理由にすべての店舗で休業し、一部の従業員らはことし5月、数か月分の給与が支払われておらず「運営会社には多額の債務が存在し支払い不能の状態にある」などとして、東京地方裁判所に運営会社「MPH」の破産手続き開始の申し立てを行いました。
これについて裁判所は18日午後、破産手続きを開始する決定を出しました。
現在の運営会社「ミュゼ・メディア・HD」によりますと、債権者は顧客や従業員などおよそ123万3000人、負債額はおよそ260億円にのぼるということです。
今後は選任された破産管財人の弁護士が資産状況の調査などを行うことになります。
決定を受けて「ミュゼ・メディア・HD」は「今後は破産管財人の管理のもと法令に従い誠実に手続きを進めてまいります。手続きの進捗や必要な情報につきましては随時適切に開示してまいります」などとコメントしています。
(2025年8月18日 22時05分 NHK WEBより転載)
韓国政府は外国人観光客に適用していた美容整形などの医療手術にかかる税金の還付措置を今年で終了させる方針を決めました。
現在、韓国では外国人が美容クリニックなど特定の医療機関で鼻の整形手術や瞼の二重手術など美容目的の医療を受けた場合、手術費の1割を還付で受けられます。
この特例措置は医療観光を活性化させる目的で2016年から導入されていましたが、医療目的の外国人観光客が持続的に増えていることから、韓国政府は今後はこの措置を延長しない方針を決めました。
今後、国会で議論され、議決されれば特例措置は年末にも終了となります。
(2025年8月1日 18:01 テレ朝NEWSより転載)
医療法人社団慶結会〈TDB企業コード:621001310、資産の総額0円(債務超過額金48万7710円)、東京都渋谷区神宮前3-42-2、理事長岩嵜宏俊氏〉は、6月30日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。
破産管財人には、荻山真理子弁護士(功記総合法律事務所、東京都中央区日本橋人形町3-6-7、電話03-5614-0201)が選任されている。
当社は、2004年(平成16年)1月に設立された美容クリニックの運営業者。当初は千葉県で歯科クリニックを運営していたが、以降数度の理事長交代を経て、2021年より「レイズクリニック青山」として、東京都渋谷区で美容皮膚科や美容内科を手がけていた。「HIFU」(ドット・リニア)やCO2レーザー、ヒアルロン酸注入などを行い、2022年8月期には年収入高約6800万円を計上していた。
しかし、「レイズクリニック青山」としての業歴は浅く業績は低調に推移。従前より累損が大きくなっていたなか、同期末では最終赤字となり債務超過となっていた。
債権者数は300名を超える可能性があり、負債は現在調査中。
(2025年7月2日 10:23 Yahoo!NEWSより転載)
~2024年「美容クリニック」の動向調査 ~
全国の主な美容クリニック248法人の2024年の売上高は3,137億5,900万円(前期比29.9%増)、利益は82億6,500万円(同22.6%増)と好調だった。コロナ禍を経ても市場は拡大をたどり、美容医療が社会に定着してきたようだ。ただ、2024年は大手の倒産が相次ぎ、前期に比べて減収や赤字法人の比率も高まっている。性別を問わず需要が広がるなか、市場は踊り場に差し掛かった可能性も出てきた。
全国の医療法人のうち、事業内容に「美容整形」「美容クリニック」を含む248法人の売上高は、2022年の2,119億6,700万円から2024年は3,137億5,900万円へ約1.5倍に伸びた。マスク生活が長かったコロナ禍を経て、美容への自己投資がより身近なものとなり、SNSマーケティングなども業界の追い風となっている。
利益は、2021年の61億3,600万円から2024年は82億6,500万円に増えている。市場自体が成長過程で、売上高5億円未満の中小・零細法人が73.7%を占め、施術単価や稼働率の低下が収益に直結するだけに経営戦略が重要になっている。
なお、2024年の美容クリニックの「休廃業・解散」は3件、倒産は4件で合計7件を数えた。これは過去10年で最多で、今後も需要が見込まれる市場とはいえ、重い投資負担や運営方針が不明確な事業者は淘汰される可能性が高い。
広告経費と集客バランスが不均衡なクリニックや特定施術に特化した単一型クリニックは、流行に左右され、多様さを増す顧客ニーズに対応できないリスクも高い。「休廃業・解散」や倒産の増加は、こうしたクリニックの淘汰を示すもので、業界の健全化に向けた警鐘とも見ることができる。今後は早期の経営診断と資金繰り対策の一方で、オンライン診療、化粧品販売など幅を広げた経営が必要な局面に入っていくだろう。
※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、事業内容に「美容整形」、「美容クリニック」を含む 法人を抽出。2024年の業績(2024年1月~2024年12月期)を最新期とし、3期連続で業績が判明した248社を分析した。
(東京商工リサーチより転載 2025年6月26日 12時55分)
幅広い年代で美容医療のニーズが高まる一方、健康被害などのトラブルも増えている。施術の結果に納得できなかったり、合併症や後遺症に悩んだり。美容医療にも詳しい皮膚科医は「リスクや副作用についても知り、施術を受けるか慎重に判断してほしい」と注意を呼びかける。(斉藤和音)
名古屋市の40代の女性会社員は4月、目の下の脂肪を除去してくまを取る施術を受けた。交流サイト(SNS)で症例を紹介する動画を見たのがきっかけだ。投稿者は全国展開する大手美容外科クリニック。目の下の膨らみが悩みだった女性は軽い気持ちで市内のクリニックを訪れた。
医師ではないカウンセラーの女性が施術の希望を聞き取った。「今日なら安くできる」と15万円が10万円に。医師と顔を合わせることなく契約書に署名し、施術を受けた。
再来院した5月、鼻の悩みをカウンセラーに漏らした。ある注射で鼻の広がりが解消できるとしていたが「あなたには効果がない」と15万円の別の施術を勧められた。迷ったが決断。施術内容やリスクは知らされなかった。
術後まもなく異変が。鼻先が赤く腫れ、黒い物が飛び出てタオルで触れられないほど痛む。クリニック側は「様子見で問題ない」と対応を拒んだ。別の医療機関で、黒い物は糸で、感染の恐れから早急な除去を勧められた。目元も脂肪の取り残しがあり、明らかな左右差を指摘された。
クリニック側はその後も「お金さえ返せば満足するのか」と診察を拒否し、女性は精神的にも追い詰められた。糸は他院で除去したが、鼻の傷痕や皮膚の違和感、目元の左右差は残る。鼻の広がりは改善しなかった。女性は「カウンセリングでコンプレックスを次々と指摘され、不安をあおられた。もっと情報収集すべきだった」と悔やむ。
厚生労働省は関係学会の調査を分析。52の医療機関・チェーンの施術数は2019年に123万件だったが、22年には約3倍の373万件に増えている。国民生活センターなどへの相談も急増。24年度は1万700件あり、過去10年で最多を更新した。このうち、健康被害の訴えは898件に上る。しみ取りのレーザーで顔中をやけどした(57歳女性)、しわやたるみを解消する施術で顔のしびれや舌の違和感が残る(50代女性)という被害もあった。
厚労省は昨年の検討会で美容クリニックなどに勤める医師の専門医資格の有無や安全管理の状況を年1回報告させることなどを決めた。
「関連する皮膚科や形成外科といった診療の経験が少ない医師の参入が増えている」。日本皮膚科学会理事で、愛知医科大の渡辺大輔教授は、トラブル多発の背景を指摘する。大学卒業後の初期研修を終え、すぐに美容医療に進む「直美(ちょくび)」と呼ばれる医師も増加している。「SNSをうのみにせず、冷静に施術内容や医師の経歴などを調べて」。日本美容医療協会のホームページでは、情報や寄せられた相談内容を公開している。
(東京新聞より一部転載 2025年6月26日 07時43分)
「HIFU(ハイフ)」と呼ばれる技術を使った美容の施術でやけどを負ったとして、20代の女性がエステサロンを経営する会社に賠償を求めた裁判で、会社が謝罪して解決金を支払うことを条件に17日、和解が成立しました。
都内の20代の女性は、エステ店で医師免許を持たない人から「HIFU」の施術を受け、左足にやけどを負ったとして、経営する会社に慰謝料など400万円余りを求める訴えを去年、起こしました。
女性側によりますと、17日、東京地方裁判所で協議が行われ、会社が施術でミスがあったことを認めて謝罪することや、解決金を支払うことなどで和解が成立したということです。
「HIFU」は専用の機械で身体に超音波をあてて加熱する技術で、しわの改善などの効果がある一方、やけどや急性白内障などになったという相談も相次ぎ、厚生労働省は去年6月、都道府県に対し、施術には医師免許が必要だとする通知を出していました。
女性の弁護士によりますと、和解条項の中で裁判所は、医師以外による「HIFU」は医師法違反で、民事上の慰謝料の対象になるという見解を示したということです。
女性は都内で開かれた会見で、「やけどの痕が現在も残っているので、完全に気持ちが晴れたとはいえないが、今後、同じような被害が繰り返されないことを願います」と話していました。
(NHK NEWS WEBより転載 2025年6月17日 14時57分)