美容医療ニュース

1.コロナ禍とSNSの台頭で美容医療市場が拡大
2.一部のクリニックでは収益優先の体質が広がる
3.SNSでの誇大広告も散見される

「美容整形に1000万円課金しました」「全身整形済みです」──。

今、SNS上では、自身の美容医療体験や施術費用を赤裸々に公開する一般ユーザーの投稿が増えている。美容医療は、かつて限られた層だけが受ける特殊な医療だったが、2020年以降、市場は拡大の一途をたどり、矢野経済研究所(東京・中央)の推計では、わずか数年で1.6倍にまで成長し、24年には6310億円に達した。

なぜ、これほど短期間で市場が膨らんだのか。背景には、新型コロナウイルス禍とSNSの台頭という2つの追い風がある。20年以降のコロナ禍は、「マスクで顔を隠せる」「在宅勤務でダウンタイム(施術によって傷ついた細胞が修復するまでの期間)を取りやすい」という条件が重なり、美容医療にとって“特需”をもたらした。

さらに、施術のビフォー・アフターや費用を一般ユーザーが次々とSNSに投稿するようになり、美容医療は一部の芸能人や富裕層のものから、身近な消費行動へとイメージが書き換えられた。ビフォー・アフターの画像や体験談がタイムラインに流れ込むことで、これまで興味はありつつも踏み出せなかった層の心理的ハードルが大きく下がったのだ。

カウンセラー主導で「数万円から」が数十万円に
 だが、市場が急拡大した一方で、医療の質を担保すべき指導・教育体制はその拡大のスピードに追いついていない。施術の裾野が一気に広がり、経験の浅い医師やスタッフが大量に流入。十分な研さんを積まないまま現場に立つケースも増え、医療の質よりも効率や売り上げを優先する運営が目立つようになった。

 本来は診療の根幹であるべき医師の診察すら形骸化し、施術の方針が“営業主導”で決まるケースも少なくない。その典型が、美容クリニックに常駐するカウンセラーによるアップセル(客単価の向上)だ。

(2025年12月23日 日経ビジネスより転載)

1.若年層では美容は「当たり前の出費」になった
2.市場規模は5兆円に迫る勢い
3.美容医療を巡る契約トラブルや健康被害への懸念も

 「実は40万円かけて全身脱毛をしているんです」。社内の飲み会でそう語ったのは、20代の男性社員だった──。

かつては、一部の女性の関心事とされていた美容は、今や若年層を中心に、「整えること」を前提とした生活インフラへと変貌しつつある。化粧品から医療、テクノロジーまで、美容を巡る経済圏が社会を包み始めた。

一方で、自由診療の拡大とともに健康被害が表面化するなど、負の側面も浮かび上がる。本連載では、5兆円に迫る「美容経済」の構造と、その光と影を多角的に描く。初回は、美容が“インフラ化”していった背景を解き明かす。

■月間支出は女性が5826円、男性が3340円

若年層の間で、美容はもはや特別な出費ではなくなった。学生時代に脱毛に約30万円をかけたという20代女性会社員は、「高いとは思ったけれど、周囲もしていたので、やっていないことに不安を感じた」と話す。

実際、調査会社TesTee(テスティー、東京・渋谷)による2023年の調査では、女子大生の51.5%が「脱毛経験がある」と回答している。また、リクルートが24年に全国1万3200人を対象に行った調査によると、美容に使う1カ月当たりの金額は女性が5826円、男性が3340円と、過去4年で最高額に達した。

しわ取り薬「ボトックス」やヒアルロン酸注射、医療アートメークといった美容医療も例外ではない。かつては一部の富裕層や美容マニアに限られていたこれらの施術が、今や整えるためのメンテナンスとして日常に溶け込みつつある。髪が伸びたら散髪するように、「気になったら美容施術を受ける」という感覚が、幅広い層に浸透し始めているのだ。

では、なぜこれほど「整える支出」が当たり前になったのか。最大の要因として考えられるのはSNSの普及だ。

インスタグラムやTikTok(ティックトック)の台頭により、写真や動画で自分の姿を世の中に発信することが日常の一部となった。加えて、SNSユーザーが日々目にするのは、磨き抜かれた容姿を持つ芸能人やインフルエンサーの姿だ。彼らのコンテンツが流れてくることで無意識のうちに自分の容姿と比較し、「もっと整えなければ」というプレッシャーを感じる人も少なくない。

さらに、新型コロナウイルスの流行も、人々の「見た目への意識」に拍車をかけた。長引くマスク生活で顔の一部が隠れたことで、目元などのパーツへの関心が高まり、マスクを外す場面での“見られること”への緊張感も強まった。また、在宅勤務やリモート会議の定着により、画面越しに自分の顔を常に見る機会が増え、自身の容姿を見つめ直す習慣が生まれた。

■資生堂、企業トップなどを対象にセルフプロデュースを支援

もっとも、この見た目への意識の高まりは、若年層だけにとどまらない。近年では、経営者や上級管理職といった意思決定層の間でも、美容や身だしなみへの関心が静かに高まっている。第一線で人前に立ち、評価される立場にあるからこそ、見た目も自己管理能力や信頼感の一部と捉えられ始めているのだ。

(2025年12月22日 日経ビジネスより転載)

外来を担う医師が多い地域での新規開業を抑制する改正医療法が5日の参院本会議で可決、成立した。国会での与野党による修正で都道府県が入院用ベッド(病床)の削減を支援できる規定も盛った。高齢化に伴う医療ニーズの変化に合わせ、地域の医療提供体制を効率的にするよう促す。

2026年4月から順次施行する。政府が通常国会に提出し継続審議となっていた。今国会でも不成立だった場合は施行が遅れる可能性があった。

都市部と地方の医師偏在を是正する対策として、外来医師が多い地域で病床のない診療所の新たな開設を実質的に規制する。

事前届け出制を導入し、都道府県知事が在宅医療など地域で不足する機能の提供を求められるようにする。従わない場合は施設名の公表や保険診療の対象機関の指定を6年から3年以内に短縮するといった措置がとれる。

地方の医師不足の解消も図る。都道府県が設定する「重点的に医師を確保すべき区域」で働く医師の勤務手当を増やす。医療保険料を原資とし、公布から3年以内に始める。

保険料の上昇要因となるため、検討段階で健康保険組合連合会が「妥当性を欠く」などと反発していた。

公的保険を使える保険医療機関の管理者について一定期間、保険診療を手掛けた実績を要件にする。美容医療など保険外診療への医師流出を抑える。

美容医療を提供する医療機関には安全管理措置の報告義務なども設ける。高額な契約や施術後のトラブルなどの相談が増えていることを踏まえた。

27年度から始まる新たな地域医療構想の土台となる規定もある。団塊ジュニア世代が高齢者となる40年代を見据え、入院病床だけでなく、外来、在宅医療や介護との連携を含む内容に衣替えする。

医療機関が経営安定に向けて病床数を削減する際、都道府県が支援できる規定も入れた。自民、日本維新の会、立憲民主、国民民主、公明の5党が合意し、衆院で修正した。

新型コロナウイルス禍での混乱を教訓に、医師が感染症の発生届を電子カルテの情報共有サービスで提出できるようにする。23年に一般病院で65%ほどにとどまる電子カルテの普及率を100%にする目標も与野党の修正で明記した。

全国の健診とレセプト(診療報酬明細書)の情報を集めたナショナルデータベース(NDB)について、研究などに適した「仮名化」を施したデータの提供を可能にする。遅れている医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速する。

(2025年12月05日 日本経済新聞より転載)

美しくなりたいという願いは、決して否定されるべきものではありません。しかし、美容医療市場の拡大とともに、初期臨床研修を終えたばかりの若い医師が、十分な専門的トレーニングを経ずに美容医療の現場に立つケースが増加しているという現状があります。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師は、「安全で質の高い美容医療を受けるためには、患者さん自身が医師の経歴や資格をしっかりと確認することが重要になります」と話します。大塚医師の著書『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)の「美容医療の医師選び:直美問題と専門医の見極め方」から抜粋してお届けします。

近年、美容医療の分野で「直美(ちょくび)」という言葉を耳にする機会が増えています。これは、大学での医学部教育と2年間の初期臨床研修を終えたばかりの医師が、皮膚科や形成外科といった一般の保険診療科でさらなる研鑽(けんさん)を積むことなく、直接、自由診療が中心の美容外科や美容皮膚科クリニックに就職するケースを指す俗称です。

かつて美容医療の道に進む医師は、形成外科や一般外科、あるいは皮膚科などで数年間しっかりとしたトレーニングを受け、手術手技や皮膚疾患に関する深い知識と経験を身につけた後、美容分野に転身するのが一般的でした。

これらの診療科で培われる診断能力や合併症への対応力は、安全な美容医療を提供する上で極めて重要な基盤となります。

しかし、美容医療市場の拡大とともに、初期臨床研修を終えたばかりの若い医師が、十分な専門的トレーニングを経ずに美容医療の現場に立つケースが増加しているという現状があります。もちろん、すべての「直美」医師の技量が低いわけではありませんが、経験豊富な医師に比べて、診断の精度や手技の熟練度、予期せぬトラブルへの対応能力に差がある可能性は否定できません。

特に、レーザー治療や注入療法などは、手軽に見えても一歩間違えれば火傷(やけど)や神経損傷、血管塞栓(そくせん)といった深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。また、シミだと思っていたものが実は皮膚がんだった、というケースも見逃してはなりません。こうしたリスクを回避し、安全で質の高い美容医療を受けるためには、患者さん自身が医師の経歴や資格をしっかりと確認することが重要になります。

では、経験のある信頼できる医師を見分けるには、最低限どのような点に注意すれば良いでしょうか?

1.専門医資格の有無を確認する
 美容皮膚科領域であれば「日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医」、美容外科領域であれば「日本形成外科学会認定 形成外科専門医」の資格を持っているかを確認しましょう。これらの専門医資格は、定められた研修プログラムを修了し、厳しい試験に合格した医師にのみ与えられるものであり、その分野における高い知識と技術を持っていることの証となります(もちろん、これ以外の診療科出身で美容医療に長けた医師もいますが、一つの客観的な指標となります)。

2.経歴と研修期間を具体的に確認する
 クリニックのウェブサイトや医師紹介ページで、経歴を確認しましょう。その際、「〇〇美容クリニック 研修修了」といった曖昧(あいまい)な記載だけでなく、「〇〇病院 形成外科にて△年間勤務」のように、どの診療科でどれくらいの期間、臨床経験を積んできたかが具体的に記載されているかを確認することが重要です。

残念ながら、中には数週間から1、2ヶ月の短期間の研修を受けただけで、あたかも十分な経験があるかのように経歴に記載しているケースも見受けられます。研修期間が具体的に、かつ正直に記載されているかどうかも、信頼性を見極めるポイントの一つです。

3.リスクや副作用の説明を正直に行うかを確認する
 カウンセリングでは、治療の良い点だけでなく、起こりうるリスク、副作用、合併症、ダウンタイムについて、隠さずに具体的に説明してくれるかを必ず確認してください。質問に対して真摯(しんし)に答え、たとえ不利な情報であっても正直に伝える姿勢があるかどうかは、医師の誠実さを見極める上で非常に重要です。メリットばかりを強調し、リスク説明を軽視したり、曖昧にしたりする医師や、不安を煽(あお)って高額な治療を強く勧めてくるような場合は、一度立ち止まって考えるべきです。信頼できる医師は、患者さんがすべての情報を理解し、納得した上で治療を選択できるよう努めるはずです。

美容医療は、医師の知識、技術、そして経験によって結果が大きく左右されます。広告や価格だけで安易にクリニックを選ぶのではなく、担当する医師がどのようなバックグラウンドを持ち、どのような姿勢で診療に当たっているのかをしっかりと確認し、納得した上で治療を受けるようにしましょう。

(2025年11月08日 AERA DIGITALより転載)

薄毛治療や美容医療などのクリニックを全国で展開する「麻生美容クリニック(ABC)グループ」の計7法人が大阪国税局などの税務調査を受け、令和5年までの5年間に計約62億円の申告漏れを指摘されたことが10日、関係者への取材で分かった。追徴税額は重加算税などを含む約12億円に上った。

関係者によると、グループ内で経営指導や医療機器販売、資金管理を担う基幹法人「IDEA」(大阪市中央区)から医療機器などを仕入れる際に、ほかの6法人が価格を過大に計上。患者からの手付金についても申告漏れを指摘された。

さらに、IDEAがグループ内から得た収入のうち約3億円については、悪質な仮装・隠蔽を伴い、重加算税の対象となる所得隠しと認定。法人資金を個人で消費したなどとして、医療法人の関係者らも約2億円の申告漏れを指摘された。

美容医療業界は近年、市場が急拡大する一方、新規店の開設費や広告費などの負担が増え、生き残り競争が激しくなっているという。ABCグループは「AGAスキンクリニック」や「東京美容外科」など、全国に100以上のクリニックを展開している。

(2025年10月10日 産経ニュースより転載)

医療法人 白藍
患者さまが安心して選択できる美容医療のために、幅広い診療内容のご相談を受付開始

しらさぎ形成クリニック(所在地:徳島県徳島市、代表:木下将人)は、2025年10月より「美容医療のセカンドオピニオンサービス」を開始いたします。患者さまが安心して治療法を選択できるよう、他院での診断や治療に関する疑問・不安を専門医が丁寧に解説し、適切な判断をサポートいたします。

経験豊富な医師に直接相談し、安心して自分に合った治療法を見つけていただけます。
[料金]
他院での治療前相談 :初回無料
他院治療後の修正相談:1回5,500円(税込)
*お持ちの診断書や見積書、過去の施術記録をもとに、形成外科専門医がリスクやメリットを含めた多角的な視点でご説明いたします。

■背景・目的

美容医療は治療方法やクリニックによって提案内容が異なるため、患者さまが「自分に合った選択」をするのが難しいケースがあります。特に手術や大きな施術を検討される際には、正しい情報をもとに納得して決断することが大切です。こうした背景を受け、当院では「安心して美容医療を選べる環境」を整えるべく、セカンドオピニオンサービスの導入を決定いたしました。

■内容

本サービスでは、美容医療に関する幅広いご相談を対象としています。具体的な診療内容は以下の通りです。
・二重まぶた手術
・目元や鼻の整形
・シミ・しわ・たるみ治療
・豊胸術や脂肪吸引などのボディデザイン
・美容注射や医療機器による施術
・傷あとや他院治療後の修正相談 など
料金
他院での治療前相談 :初回無料
他院治療後の修正相談:1回5,500円(税込)
*お持ちの診断書や見積書、過去の施術記録をもとに、形成外科専門医がリスクやメリットを含めた多角的な視点でご説明いたします。

■特徴・強み

・形成外科専門医による客観的なアドバイス
・美容外科から美容皮膚科まで幅広い相談に対応
・患者さまが納得して選択できるよう、複数の選択肢を提示
・無理な勧誘は行わず、中立的な立場での情報提供

■今後の展開・期待される効果

本サービスを通じて、美容医療に関する不安や誤解を減らし、患者さまが自分にとって最適な治療を安心して選択できることを目指します。今後も地域に根ざした医療機関として、信頼できる美容医療の提供に努めてまいります。
【会社概要】
会社名:しらさぎ形成クリニック
所在地:徳島県徳島市東船場町1丁目6パルプラザビル6階
代表者:木下将人
事業内容:形成外科、美容外科、美容皮膚科
設立:2018年4月

(2025年9月30日 PR TINESより転載)

10代から80代まで幅広い層が苦しんでいる
ヒアルロン酸注入後に皮膚が壊死した女性
(https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/amd-img/20250918-00000005-friday-000-1-view.jpg?exp=10800&fmt=webp)

まずは上の写真を見ていただきたい。交通事故の被害者のように見えるこの女性の痛々しい傷は「美容整形の後遺症によるもの」である。実際に彼女の後遺症の治療を行った日本医科大学付属病院・美容整形後遺症外来には、日々多くの患者が相談に訪れる。その最前線に立っている形成外科専門医の朝日林太郎医師が解説する。

「これはヒアルロン酸の注入後の後遺症です。ヒアルロン酸はシワやたるみ改善に使われる人気の治療ですが、まれに血管塞栓という合併症が起こります。ヒアルロン酸が血管に入り、血流を遮断してしまっている状態で、失明や皮膚の壊死など重大な合併症が生じることがあります」
近年、美容医療が爆発的に広がっている。インフルエンサーが堂々と「整形告白」をし、SNSにはキラキラした美容医師の広告があふれる。気軽に美容医療を受ける人が増える一方で、後遺症や医療事故に苦しむ人々も増えているのだ。
朝日医師は「患者数はここ5年で5倍以上に増えています」と言う。
「10代から80代まで幅広い。まぶたが閉じなくなった、鼻が変形した、脂肪吸引後のしびれや慢性痛、注射による壊死……。簡単だといわれている治療や手術で失敗や合併症が起きることもあり、パターン化ができないのが美容整形後遺症の難しいところです。
本来なら、美容医療を受けたクリニックで治療してもらうのが一番いいと思いますが、なかなかそうもいかない。患者さんは悩んだ末に私たちの外来にたどり着きます。受け皿にならざるを得ないという現状です」(以下、「」内はすべて朝日医師)
一見すると新しい医療分野のように思われるが、実は美容後遺症外来には長い積み重ねがある。
「日本医科大学病院では30年ほど前から形成外科の一部として存在し、15年前に専門外来として特化しました。2020年から私が責任者となり、全国から寄せられる相談に応じています。美容整形後遺症外来は命に直結する急性期ではなく、慢性的な不調が続く患者が対象となります。
患者の多くが手術や施術から2~3年が経過した方です。美容整形を担当した医師に『そのうちよくなる』と言われ、結局改善しないまま苦しみ、私たちのところに相談に来る。そんな患者さんが増えています」
後遺症治療を進めるうえで、元の執刀医と連絡を取ることは欠かせないが、そんな初歩的なところにも「問題がある」という。
「もちろん患者さんの同意を得てですが、できる限り手術を担当した先生に確認を取るようにしています。ただ、実際には診療情報をなかなか開示してくれないクリニックが多いというのが現状です」
医師法では、正当な理由がない限り診療情報は開示されるべきとされている。
「透明性は重要です。しかし、記録が残っていなかったり、記録とはまったく違う処置がされていたりします。ですから、情報開示の仕組みが整えばすべて解決、という単純な話ではありません。美容整形後遺症治療では、患者の状態を見極め、患者ごとに最適な対応をとることが最も重要になります」


◆「イレギュラー」に対応できない医師
美容整形の合併症は、時に命を奪うこともある。実際、過去に重大事故が繰り返されてきた。

  • ’09年・東京都豊島区の美容整形外科
    70歳女性が腹部脂肪吸引を受け、吸引管が腸を損傷。術後に死亡。医師は業務上過失致死罪で有罪判決。
  • ’11年・東京都中央区の総合病院
    鼻の整形を受けた30代女性が術後の誤挿管で植物状態に。約2年後に死亡し、東京高裁が病院に賠償を命じた。
  • ’23年・大阪府大阪市の美容クリニック
    48歳男性が顔の脂肪吸引で出血。適切な処置が行われず翌日死亡。担当医は業務上過失致死で書類送検。
    「稀ではありますが、命に関わるようなケースもあります。形成専門医の資格もない、経験値が少ない医師がイレギュラーなケースに対応できず、事態を悪化させてしまうこともあります。
    緊急性が高い場合は後遺症外来とは別の枠組みで美容救急が必要です。当院では春山記念病院などの医療機関と連携し、“一分一秒を争うような治療介入が必要な患者を確実に拾い上げる体制”を整えています」
    形成専門医の資格を持たず経験値が少ない医師といえば、「直美」が頭に浮かぶ。直美とは、初期研修を終えただけで美容医療に飛び込む医師のことだ。しかし、初期研修はあくまで土台作りに過ぎず、医師としての力を養うのは後期研修である。
    美容医療は本来、形成外科をはじめとする専門領域に位置付けられ、解剖学や外科的手技、合併症への対応など高度な専門知識が求められるのだが、重要な後期研修を経ずに美容整形に携わる医師がいるのである。患者にとって重大なリスクと言わざるを得ない。
    朝日医師は「直美が悪いかどうかというのは難しいのですが、問題の一つとして“イレギュラーなケースへの対応に弱い”というのは明確にあります」と言う。
    「本来ならイレギュラーなケースが出たときは、他の病院に紹介する、あるいは専門医に相談してもらえればいいのですが、そうせずに安易なタッチアップーー修正を試みて、かえって状況を悪化させてしまうケースが少なくありません」
    直美に対する研修制度の整備が必要では、という声もある。
    「制度で縛るのは非常に簡単で一つの方法ではあるんですけど、問題はもっと本質的なところにあると思います。“形成専門医の資格を持っていることは自分にとっても患者さんにとっても非常にプラスになる”ということを若い医師に私たち先輩がきちんと伝えきれていないのが問題なんじゃないかと考えています」
    そう考えるようになった背景に、これまでの朝日医師の歩みがある。
    「私は強い志があって美容後遺症外来を始めたわけではありません。もともと、私のキャリアの中心は熱傷や外傷などの急性期外科。一般急性外科の医師として、普通の地域病院で働くつもりでした。それが、前任の責任医師が退くことになり、私が引き継ぐ形で美容後遺症外来を担当することになったのです。
    いわば医局の人事でこの世界に入ったのですが、現場で患者と向き合ううちに“これはまさに今、世の中に求められている仕事だ”と強く感じるようになりました。美容医療はサービス業の側面もあります。うまくいけば患者さんはとても幸せになりますが、トラブルが起これば苦しみ続けることになる。美容整形後遺症外来は重要な分野だと思っています」
    だが、その一方で「後継者育成のハードルはかなり高い」という。経験、専門性、そして収益面での難しさから、簡単に担える医師はほとんどいないからだ。
    近年、美容医療の広告やSNSで「センスのある医師」という言葉が頻繁に使われるが、朝日医師は「センスと腕は異なる」と断言する。
    「動画で手術を学んでコピーできる器用な医師はいますし、それをセンスと呼んでいるのだと思います。ただ、手術は100人やれば100人同じ結果になるわけではありません。合併症は一定の確率で必ず起こります。そこからどうリカバーするかが大事であって、決してセンスだけで解決できるものではない」
    医療ミスや美容整形後遺症に遭わないため、我々ができることはあるか。
    「大事なのは執刀医の経歴や資格をしっかり確認し、その医師が術後トラブルにも誠実に対応してくれるかを見極めること。信頼できる医師ほど『自分では限界がある』という正しいジャッジができる」
    美容医療は華やかな成功例だけで成り立ってはいない。
    日本が「美容大国」となった今こそ、美容整形後遺症外来や美容救急の整備、そして直美など若い医師を正しく導く教育体制が求められている。

(2025年9月18日 PR TIMESより転載)

健康被害が相次ぐ美容医療を巡り、厚生労働省が違法の疑いがある行為を具体的に挙げ、適切に指導するよう求める通知を各都道府県などに出したことが14日、分かった。無資格者による医療方針の決定や、メールやチャットに限った不十分な診断などを挙げた。

美容医療に関する相談は増加傾向にあるが、違法性の線引きや、保健所による立ち入り検査の可否判断が難しいとの指摘があった。法的根拠を明示することで指導体制の強化につなげたい考えだ。

美容医療はエステサロンなどと比べて大きな効果が期待できる一方、医療行為に当たるため、医師や看護師などの資格が必要だ。

美容医療を巡る相談件数は年々増加し、2023年度の国民生活センターなどへの相談は5千件超。厚労省の検討会では「医師の診察前に治療内容が決まり契約した」「医師ではない無資格者の施術だった」などの相談が報告された。

美容医療の多くは自由診療で行われ、行政による指導・監査が可能な保険診療に比べ実態が見えづらいとの指摘がある。保健所には美容医療に詳しい職員が少なく、医療行為の適否の判断が難しいとの声や、医師法で義務づけられた診療記録の作成・保存が不十分で、問題事例の確認が困難な医療機関もあるとの意見も上がっていた。

通知では、医師免許のない無資格者が「カウンセラー」と称し、医療脱毛や高密度焦点式超音波(HIFU、ハイフ)などの治療方針を決めて施術することは医師法違反と明示。医師の指示がない看護師らのみの治療を禁じ、治療行為の料金設定の説明という体裁であっても医師以外が治療方針などを決めてはならないとした。

メールやチャットのみの診断では不十分な場合があり、医師法違反の恐れがあると解釈。記録不備がある場合も違反に該当するとした。こうした医師法などの違反が疑われる事案があった場合は、保健所が医療法に基づき立ち入り検査できると示した。

(2025年9月15日 2:00 日本経済新聞より転載)

脱毛サロンの業界大手「ミュゼプラチナム」で元従業員らの給与が未払いになっている問題で東京地方裁判所は18日、運営していた会社の破産手続きを開始する決定を出しました。債権者は顧客や従業員など123万人余り、負債額はおよそ260億円にのぼるということです。

全国におよそ170か所の脱毛サロンを展開する業界大手の「ミュゼプラチナム」はことし3月下旬から経営体制の移行などを理由にすべての店舗で休業し、一部の従業員らはことし5月、数か月分の給与が支払われておらず「運営会社には多額の債務が存在し支払い不能の状態にある」などとして、東京地方裁判所に運営会社「MPH」の破産手続き開始の申し立てを行いました。

これについて裁判所は18日午後、破産手続きを開始する決定を出しました。

現在の運営会社「ミュゼ・メディア・HD」によりますと、債権者は顧客や従業員などおよそ123万3000人、負債額はおよそ260億円にのぼるということです。

今後は選任された破産管財人の弁護士が資産状況の調査などを行うことになります。

決定を受けて「ミュゼ・メディア・HD」は「今後は破産管財人の管理のもと法令に従い誠実に手続きを進めてまいります。手続きの進捗や必要な情報につきましては随時適切に開示してまいります」などとコメントしています。

(2025年8月18日 22時05分 NHK WEBより転載)

 韓国政府は外国人観光客に適用していた美容整形などの医療手術にかかる税金の還付措置を今年で終了させる方針を決めました。

 現在、韓国では外国人が美容クリニックなど特定の医療機関で鼻の整形手術や瞼の二重手術など美容目的の医療を受けた場合、手術費の1割を還付で受けられます。

 この特例措置は医療観光を活性化させる目的で2016年から導入されていましたが、医療目的の外国人観光客が持続的に増えていることから、韓国政府は今後はこの措置を延長しない方針を決めました。

 今後、国会で議論され、議決されれば特例措置は年末にも終了となります。

2025年8月1日 18:01 テレ朝NEWSより転載)