「美容目的の再生医療で合併症」 医療法人の責任認定、訴訟が終結

美容のために受けた再生医療合併症が残ったとして、東京都の40代女性が、施術したクリニックを運営する医療法人を相手取って損害賠償を求めた訴訟をめぐって、東京地裁が医療法人の責任を認定し、原告に対して解決金を支払うことなどを求めた決定が7日、確定した。

 決定は民事調停法に基づく手続きで、昨年12月13日付。裁判上の和解や確定判決と同じ効力がある。決定が通知されてから一定期間内に、女性側からも医療法人側からも異議申し立てがなく、今月7日付で確定した。

 女性が受けたのは「bFGF添加PRP療法」。採取した本人の血液からつくる多血小板血漿(けっしょう)(PRP)を、本来は傷薬として使われる「bFGF」という医薬品と一緒に顔のしわなどに注入する。

 合併症の報告が多いとされ、日本美容外科学会(JSAS)などがまとめた2020年の指針では「安易には勧められない」とされている。

 訴状によると、女性は17年と19年の2回、医療法人社団美翔会が運営する「聖心美容クリニック横浜院」で、「プレミアムPRP皮膚再生療法」と称される施術を受けた。20年以降、目の下など施術を受けた部分に、しこりや皮膚の膨らみなどができた。

 女性にはこの施術が「bFGF添加PRP療法」であるという認識がなく、施術前に医師から、bFGFを添加する手法を使うという説明もなかった。合併症の報告が多いなどの施術のリスクも十分に説明されなかったとして、施術費用(約87万円)や慰謝料など約649万円の損害賠償を求めて、2023年12月に東京地裁に提訴していた。

(朝日新聞より転載 2025年1月16日 8時00分)

“説明義務怠った”美容クリニック解決金支払う決定受ける

肌を若返らせるとする美容施術を受ける患者に、しこりができるリスクなどを説明しなかったとして、全国で展開する美容クリニックが東京地方裁判所から調停で解決金を支払う決定を受けたことが分かりました。

これは7日、患者の女性と弁護士が都内で会見を開き、明らかにしました。
会見によりますと、女性は2019年までに2回、全国で展開する「聖心美容クリニック」の横浜市の施設で、肌を若返らせるとする「プレミアムPRP皮膚再生療法」という美容施術を受け、目の下やこめかみにしこりなどができたとして、クリニック側に賠償を求めました。
調停の結果、東京地方裁判所は先月、クリニック側が施術料や治療費などを解決金として女性に支払う決定をし、異議申し立てがなかったため7日確定しました。
決定で裁判所は、皮下注射に使われた「フィブラストスプレー」という製剤は、本来、傷などに使う外用薬で皮下注射は推奨されておらず、クリニック側がそうした事情やしこりなどができるリスクについて説明する義務を怠ったと指摘しました。
会見で女性は「つらさや悲しみは消えず、悔しい。裁判所の決定で今後、被害を受ける人が少なくなり、いま苦しんでいる人が動き出せるきっかけになると思う」と話していました。
クリニック側は「担当者が不在のため対応できない」としています。

(NHK NEWS WEBより転載 2025年1月7日18時11分)