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脱毛サロンの倒産、過去最多に 大手でも契約トラブル急増の業界事情

全国に展開していた脱毛サロン「銀座カラー」の運営会社が破産手続きに入ったことが16日、分かった。
約10万人とされる債権者の多くは利用客とみられる。脱毛サロンをめぐる消費者トラブルは急増している。何が起きているのか。

帝国データバンクによると、銀座カラーは有名タレントを起用した広告で知名度を高め顧客を獲得し、全国に約50店舗を構えた2020年4月期には年収入高約125億6千万円を計上していた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で利用者が減り、業績が悪化。店舗の統廃合をすすめて収益改善に努めたが、スタッフの退職も相次ぎ、運営が困難となった。直近では約30店舗になっていた。

債権者は10万人を超える見込みで、脱毛サロンでは過去最大規模。広告や口コミサイトなどで上位を占めることで、「大手」として安心して契約をした客が多かった可能性があるという。

(2023/12/18 朝日新聞デジタルより)

急増する「脱毛サロン」倒産、2023年は過去最多に 利用者5万人に影響

■「格安」勧誘で経営悪化 いびつなビジネスモデルに限界も

「脱毛サロン」の倒産が急増している。エステ脱毛を中心とする「脱毛サロン」の倒産は、2023年に9件判明した。既に前年累計の4件を大幅に上回って推移しており、年間では過去最多件数を更新したほか、初めて年間10件に到達する可能性がある。

ただ、脱毛サービス終了の発表や水面下の私的整理、廃業といったケースを含めれば、実際はより多くの脱毛サロンが市場から淘汰されたとみられる。

2023年の脱毛サロン倒産の特徴は、店舗を全国に複数展開し、回数無制限などを謳った通い放題のプランで会員数を拡大してきた中・大規模の企業で頻発している点があげられる。9月には女性専用の脱毛サロン・シースリーを展開していた「ビューティースリー」、男性専用の脱毛サロン・ウルフクリニックの経営に関与していた「TBI」など、大手の脱毛サロンが相次ぎ経営破綻し、通い放題プランを購入した会員などを中心に延べ約5万人が影響を受ける事態となった。

いずれも「月額1万円以下」「永久脱毛」など低価格・長期間の施術を前提としたコースで会員数を増加させたものの、同業サロンとの競争激化で新規顧客の獲得が頭打ちとなり、出店費用など設備投資や固定費の回収が困難となったことで事業継続を断念した。

足元では、契約内容を一方的に変更されたとして訴訟に発展したケースや、新成人となった18・19歳が高額なローン・クレジット契約に巻き込まれるなど、脱毛サロンの契約をめぐる消費者トラブルが問題となっている。

過度な勧誘方法の見直しや「前払い金」の保護に対する業界ルールの策定など、利用者保護の視点に立った脱毛サロンの在り方が問われている。

(2023年10月6日 帝国データバンク発表 Yahoo!ニュースより)

※2015年からの倒産件数と比較し、2023年の1-9月は9件と年間最多を更新した。
それまの件数は多くても5件(2017年)であった。

無免許で脱毛、フィルター付けずに光線当てて女性客やけど…エステ店経営者ら書類送検

医師免許がないのに、皮膚に強い光を当てて脱毛し、女性客にやけどを負わせたとして、大阪府警は21日、大阪市西区のエステ店「BeSonder」経営の女(24)(大阪市)と、アルバイトの女(24)(大阪府柏原市)を医師法違反(無資格医業)と業務上過失傷害の疑いで書類送検した。

発表では、2人は昨年8月、医師免許を持たずに、光脱毛の機器に光線の出力を制御するフィルターを取り付けるのを怠って、20歳代の女性客の毛根に強い光を当て、背中に全治約1~2週間のやけどをさせた疑い。2人は医師法違反容疑について否認しているという。

厚生労働省は「強い光線を毛根部分に照射し、毛乳頭などを破壊する行為」を医療行為にあたるとする見解を示している。

エステ店での脱毛を巡る事故は相次いでいる。国民生活センターによると、2022年度の事故件数は163件で、17年度の123件から約3割増えている。日本エステティック振興協議会は、脱毛方法について「除毛や減毛を目的に、毛の幹細胞を破壊しない範囲で行う」とする自主基準を策定し、エステ店に法令順守を求めている。
(2023/06/21 讀賣新聞オンラインより)

悪質会社も 美容で狙われる10代

「一生通い放題ってほんと?」脱毛・美容で狙われる10代、劣等感につけ込む商法も 〝通い放題〟はごく一部、予約入らず、解約できず。

脱毛エステや美容医療に関する広告が、街中やインターネット上にあふれている。特に目立つのは、10代を狙った低価格を強調するこんな宣伝だ。「19歳までのあなたに向けて新登場!Teen二重術」「全身脱毛がお得になる学割」。
 男女ともに美容意識が高いと言われる若い世代にとって、脱毛や二重整形は珍しいことでなくなってきている。加えて春は大学進学などで周囲の人間関係が変わり、施術を受けやすいタイミング。ただ、安易な契約には注意が必要だ。コンプレックスにつけ込む商法や、メリットばかり強調する派手な広告も混在して、悪質な会社から高額な請求を受けるケースもある。
 日本女子大学が2,3月に在学生を対象に美容医療やエステに関するアンケートをしたところ、1週間で30を超えるトラブル報告があった。民法改正により、成人年齢が18歳に引き下げられてから4月で1年。社会経験の乏しい若者は、トラブルをどう回避すればいいのだろうか。

▽「一生通い放題」にひかれて行ってみたら…
 日本女子大学の学生たちは、アンケートで次のような体験を記述している。
 「SNSの広告に釣られて来店したが、実際には高額なプランを進められ、断り切れず契約してしまった。解約したい場合はどうすればいいか」
 「『破格で一生通い放題』『カウンセリングだけでも大丈夫』という広告を見てお店に行ったところ、通い放題になる部位はほんの一部だった上に、追加契約も必要だったことがありました。カウンセリングだけで終わらせるつもりだったのですが、お店の押しが強く、その場で契約させられたことがありました」
 「脱毛サロンに入会する時、2週間から1カ月に1回通っていただきますと言われたが、実際には予約がいっぱいで取れず、3カ月に1回予約を取れるか取れないかといった具合であった」
 「脱毛エステを解約したくてもできなかった。解約する際、コールセンターへの電話のみと言われ、何度電話しても(日にちや時間をずらしても)つながらなかった」
 国民生活センターにも相談が多く寄せられている。2022年4月〜2023年2月に18、19歳から寄せられた相談全体のうち、脱毛エステに関するものは1076件と約13%を占め、前年度同期間の約6・6倍となった。エステサロンでの脱毛に加え、医師が行う医療脱毛に関する相談も目立つ。
 相談の中には、解約しても返金されなかったり、施術効果の説明が不十分だったりするケースがあった。昨年8月に大手の「脱毛ラボ」の運営元が破産手続きを開始しており、これと関連するとみられる「契約したサロンが倒産した」という相談も多かった。
 国民生活センターによると、トラブル防止のために重要なのは次の2点。
(1)「お試し価格」など安さや気軽さを強調する文言をうのみにしない。
(2)契約は内容や期間、支払総額をしっかり確認して納得した上で行う。
それでも被害に遭ってしまったら、早めに消費者ホットライン「188」に相談してほしいと呼びかけている。

▽業界の複雑さとリスクを知る必要性
 対応に動き出している企業もある。脱毛サロン大手の「ミュゼプラチナム」(東京)は18、19歳の高校生や高専生には、父母や祖父母の同意を求める自主ルールを設けている。ただ、こうした取り組みが業界全体に浸透しているわけではない。
 業界団体はこの状況を、どう見ているのだろうか。医師らで組織する日本美容医療協会(東京)の鈴木芳郎副理事長は、成人年齢引き下げについて「本人の意思を重視できるメリットはある」としつつ、業界の実態を若者が理解しているかどうかについては懸念を示した。
 鈴木副理事長は美容医療全般についてこう説明する。「業界には専門医でない医師がいたり、派手な広告を出す企業があったりする」。利用を考えている若者は、脱毛の方法が医療脱毛とそれ以外に分かれていることや、肌荒れなどのリスクもあることを知っておく必要がある。当面は親の同意を得るなど慎重に対応することを推奨しているという。

▽いつの間にかすり込まれる「劣等感」
 消費者問題に詳しい日本女子大学の細川幸一教授は、美容医療が近年、人気になっている背景に、若者の意識の変化があると推測している。「『親からもらった顔にメスを入れるのはよくない』という考え方から変化したのだろう」
 細川教授が指摘する「知っておくべき点」は次の通りだ。①美容医療は保険適用外のため、消費者が全額負担しなければならない②企業は広告費がかさみがちな上、医師が自由に料金を設定できるため、高額になりやすい③本来、施術を提供する「供給」側である医師が、施術内容という顧客の「需要」も事実上決めてしまうという、医療ならではの特徴がある。
 細川教授が危険視するのは「コンプレックス商法」だ。体毛の濃さなど、外見上の劣等感を刺激して施術に駆り立てる手法で、広告などによって知らないうちに「毛がはえているのはみっともない」「脱毛しなきゃ」などという意識をすり込まれがちだ。対策をしている企業もあり、例えばヤフーは2020年に、広告主に対し、露骨な表現をしないよう通知している。
 細川教授は、悪質な業者や広告に必要な規制がかかっていない点も指摘している。「厚生労働省や日本医師会(日医)が積極的に対応すべきではないか。若者の契約の問題には、上の世代の無責任さがある」

(共同通信社 47NEWSより)